ああ。
これは枷なんだ。


   ―KaruMa―


長い長い砂塵の道を
一つの鎖が這っている
長き鎖を動かすのは
それに捕われた廃人たち

真っ只中で目覚めた悪夢
波に流され道を逝く
居場所も理由も知らぬまま

地を這う戒めの錠
心などどこかへ置き去りで
ひたすらに何故、と考えた
答えは卑しくも己の業に

――殺めた者の背負う業――


一度目覚めたなら
まして人の心を再び宿したなら
苦しい、哀しい、辛い、酷い、
地の底から這い上がる轟音は
気付けば己の叫び声だった

地を這う戒めの鎖
途切れずに我らを繋ぐ
砂塵の道に遠く蜃気楼
あの果てまで逝けば終わるのだろうか

――人殺し、という己の業も――


押し寄せる後悔の波に誘われ
鎖を断ち切ろうともがいた
それは正に溺れた人のようで
決して海面に上がることはできないのに


地を這う幾千の人
砂塵の道は人殺しの道
命というかけがえのないものを
捨てた、奪った、人の戒め

地を這う戒めの錠
その鍵は限りなく果て
蜃気楼の先に埋もれているのか
ああこの枷はいつ外れるのだろう


砂塵の道
戒めの鎖

幾千の殺し屋が道を逝く


――業の道を――




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