俺は生きている。
無期限保管、という枠の中で。
永遠に体は凍結されて動けないけれど。

全て、見えてる。


   ―永久の揺り篭―


世界の端々には知らないことが沢山転がってる。
俺は彼女に出会い、あいつと過ごし、
そして死んだ。

けれど存在している。
物言わぬ人形のように、
抜け殻を大事にとっておくように、
そこに在ることだけが望まく思える程、


――ただ、見えてるんだ。


あいつが来て、
煙草をふかして、
話しかけもせず、

その背中、あんた頼りなさすぎたろ。
まだ俺を停止させた事に負い目感じてんのか?
実の妹を殺した事に後悔があるのか?


その問い掛けは、果たしていつ返ってくるのか。


俺は生きている。
無期限保管、という枠の中で。
永遠に体は凍結されて動けないけれど。

全て、見えてる。

いつも、あんたを見てんだよ。


だから、と心の中で呟いたとき、
あいつは、五月蝿い、と。
そう返しただけだった。




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